P波チャーモニウム状態の寄与を含むエキゾチックハドロンの構造解析
概要
従来のクォーク模型では説明することが困難なハドロンはエキゾチックハドロンと呼ばれている.2003年にBelle実験において$X(3872)$が報告されて以来,$XYZ$,$P_c$などの特にチャームクォークを含むエキゾチックハドロンが多数報告されている.これらの中には,チャーモニウム($c\bar{c}$)と同じ量子数を持つ粒子が複数存在し,その内部構造の解明が重要な課題となっている.
2025年春季大会では,P波チャーモニウムと同じ量子数をもつ$X(3860)$,$X(3872)$,$Z(3930)$を対象に,これらをP波$c\bar{c}$メソン($\chi_{cJ}(2P)$)と$D^{(*)}\bar{D}^{(*)}$および$D_s^+D_s^-$ハドロン分子状態との重ね合わせとして解析した結果を報告した.その際,ハドロン分子状態の相互作用として擬スカラーメソン交換とベクターメソン交換を考慮し,$c\bar{c}$メソンがハドロン分子状態のS波成分とのみ結合すると仮定して数値計算を行った.
本研究では,$c\bar{c}$メソンとハドロン分子状態の結合ポテンシャルとして$^3P_0$モデルを導入する.$^3P_0$モデルは,真空から生成されるクォーク対($q\bar{q}$)が$^3P_0$であると仮定し,ハドロンの崩壊を記述する現象論的モデルである.これにより,S波だけでなくD波のハドロン分子状態との結合も取り込むことが可能となり,より現実的なスペクトル計算が期待できる.また,ハドロン分子間の相互作用には,前回の解析で用いたメソン交換ポテンシャルを採用した.これらのポテンシャルを組み込んだ連立シュレーディンガー方程式をガウス展開法によって数値的に解き,束縛状態のエネルギー固有値および波動関数を求めた.本発表では,その理論枠組みと計算結果について報告する.
2025年春季大会では,P波チャーモニウムと同じ量子数をもつ$X(3860)$,$X(3872)$,$Z(3930)$を対象に,これらをP波$c\bar{c}$メソン($\chi_{cJ}(2P)$)と$D^{(*)}\bar{D}^{(*)}$および$D_s^+D_s^-$ハドロン分子状態との重ね合わせとして解析した結果を報告した.その際,ハドロン分子状態の相互作用として擬スカラーメソン交換とベクターメソン交換を考慮し,$c\bar{c}$メソンがハドロン分子状態のS波成分とのみ結合すると仮定して数値計算を行った.
本研究では,$c\bar{c}$メソンとハドロン分子状態の結合ポテンシャルとして$^3P_0$モデルを導入する.$^3P_0$モデルは,真空から生成されるクォーク対($q\bar{q}$)が$^3P_0$であると仮定し,ハドロンの崩壊を記述する現象論的モデルである.これにより,S波だけでなくD波のハドロン分子状態との結合も取り込むことが可能となり,より現実的なスペクトル計算が期待できる.また,ハドロン分子間の相互作用には,前回の解析で用いたメソン交換ポテンシャルを採用した.これらのポテンシャルを組み込んだ連立シュレーディンガー方程式をガウス展開法によって数値的に解き,束縛状態のエネルギー固有値および波動関数を求めた.本発表では,その理論枠組みと計算結果について報告する.
日付
2025年 9月 16日 — 2025年 9月 18日
イベント
場所
広島大学